個人事業主が語る、独立する人が知っておくべき会計経理
中小企業庁のデータによると、個人事業主のうち約40%が1年以内に廃業しているという事実が明らかになりました。このデータは、中小企業庁が経済産業省の「工業統計表」から製造業に従業員4人以上の事業所を対象に、開業後の経過年数ごとに存続している事業所の割合を再集計したものです。集計期間は1984年から2002年までです。
開業からの年数ごとの生存率の前年比が示されています。開業から1年で62~80%の事業所が生き残り、そのうち75~88%の事業所が2年目も生き残っていることがわかります。グラフでは、青線が法人、赤線が個人事業を表しています。法人と個人事業を比較すると、法人の方が廃業率が低い傾向にあります。ただし、どちらの場合も最初の数年間は事業が安定するまでが難しいことが分かります。ただし、単にグラフを見て個人事業主よりも法人での開業の方が安全だと結論づけることは疑問です。
具体的な実情は数値だけでは分かりませんが、法人場の合はスタート時点で企業の子会社のような体制が整っている場合や、数年間は赤字でもバックアップを受けることができる場合など、廃業率が低い可能性もあります。また、元データが従業員4人以上の製造業に限定されているため、飲食業や美容師の独立などのケースはデータに含まれていないことも考えられます。
より詳細なデータを見ると、個人事業の場合、開業1年後の生存率は62.3%であり、約3分の1の事業所が1年も持たずに廃業していることがわかります。翌年にはその4分の1が廃業し、さらにその翌年には5分の1が廃業しています。この数字から推測すると、開業3年後には法人の場合は生存率が約63%に対して、個人事業ではわずか38%になるということです。6年後には法人でも半分以下、個人事業ではわずか2割しか残らない計算になります。私自身は製造業ではありませんが、5年目の生存率が26%の中で残ることができたことに感謝しています。
これらの数字を見ると、独立や開業を考えるならば、「経理や税金などの知識が全くない」という言い訳は通用しないでしょう。実際に私の周りには、請求書を送っても送ってこない人や、入金の際に源泉徴収がされたりされなかったりする企業もあります。また、税理士に毎月の領収書を送るだけで済む社長さんもいます。お金に余裕がある場合は、経理担当を雇ったり税理士に依頼したりする方法もありますが、何も知らずに丸投げするよりも、ある程度の知識を持って依頼する方がコストと安全面の両面で選択肢として妥当だと思います。
独立といっても法人と個人事業主では大きな違いがあります
先ほどの内容を見ると、独立を考えないでサラリーマンとして働き続ける方が良いと思う人もいるかもしれません。私自身は23年間のサラリーマン生活の後に独立し、現在6年目に入っていますが、独立して良かったのか悪かったのかはまだ結論が出ていません。もちろん、私はサラリーマンに独立を勧めたことはありません。
しかし、安定したサラリーマンの職業でも微妙な状況にあることも考えられます。日本を代表する企業が巨額の赤字を出し、リストラを行うことが珍しくない時代です。日本企業の国際競争力も低下しており、20年や30年先のことを予測することは難しくなっています。50代の方は残り数年働いて逃げ切ると考えるかもしれませんが、若い人ほど企業の事情に巻き込まれる可能性が高いです。一方で、若い人ほどさまざまな可能性を秘めているとも言えます。会社との共存を覚悟して働くことも否定しませんが、いざとなれば自分自身で何とかする覚悟も持っておくことは1つの選択肢だと思います。
さまざまな経緯を経て独立を決断した場合、最初の選択は個人事業主として独立するか、法人(会社)を設立するかです。業種や職種によっては法人でなければ取引ができない場合もありますが、どちらの形態でも可能な場合は、さまざまな条件を考慮して選択する必要があります。
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